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2011年2月21日 (月)

「悟らずの空」と「おとぎ夜話」伏線など(浅野)

「悟らずの空」無事終了いたしました~。

とは言っても、芝居が終わってからニ~三日は、連日の殺陣と、大雪のバラシの疲労とで、肩がガチガチに固まって、しばらくは寝こんでおりましたが…

ま、それはさておき、本公演も終了した事ですし、「おとぎ夜話」と「悟らずの空」との伏線などを、色々書いておきますね。

まずは猪八戒。

これは簡単ですね。「おとぎ夜話」で、猪八戒が通っていた、飲み屋にいる遊び女の名前がパイパイ。んで、そのパイパイをやっていたのが、今回、提玉をやっていた松宮かんな嬢だったんですねぇ。

続いて、流沙河(ルサガ)の沙悟浄。

「おとぎ夜話」の中では、砂漠のど真ん中、すり鉢状になった砂の底にある一軒家に棲み、旅の坊主の心を追い詰めては殺してしまう、まるであり地獄の化け物のような存在として描かれていたのですが、この時、坊主を殺していた理由が、今回の「悟らずの空」で明らかになったんですね。

ちなみに「おとぎ夜話」において、沙悟浄が待っていたのは、三蔵ではなく、自分の穢れを払ってくれる、真の穢れのない存在です。だから劇中(「おとぎ夜話」)で、色々とカマをかけては、本当に坊主かと確認していたんです。

さらに、もう一つ言及しておきますと、沙悟浄は、一般的には水の化け物として知られておりますが、本来は火の化け物でもあります。

どういうことかと言いますと、沙悟浄の「沙」の字、見て頂けたら解るかと思うのですが、サンズイ(水)が少ないと書きますよね?そして砂漠と同じ意味で、沙漠とも書いたりします。

つまり。「沙」の字は、古来、水が少ないことを表すもので、流沙河(ルサガ)の意味も、本来は、水が枯れた河を現しているのです。

それが、「西遊記」が日本に入ってきた時、沙悟浄の棲むと言う、流沙河の「沙」の字が、サンズイがつくことから、普通に水の流れる河だと思われ、さらには、河に棲む妖怪と言う事で、正体が、河童だとされてしまったんですね。

そのことから、今現在、皆さんが最もよく知っている、「水の妖怪、河に棲んでる河童の沙悟浄」と言うイメージが出来上がってしまったんです。

ですから本来は、水の枯れ果てた場所(沙漠)に住む、暑い(熱い)火の妖怪という訳なのです。

しかし。これだけでは済まないのが民俗学の面白い所でして…

明の時代、西遊記が、きちんと製本されて、世に出る以前にも、実は、プロトタイプと思われる物語が、いくつか作られているんです。そしてそこに、三蔵を助ける、ある神様が登場するのですが、おそらくこの神様こそが、後の沙悟浄のモデルになったであろうと思われます。

その神様、名前を、深沙神(シンジャシン)と言いまして、水と蛇に関わりの深い神様なんですね。 ちなみにこの神様、後に日本にも入って参りまして、皆様もよくご存知、深大寺そばで有名な、深大寺に祀られている神様のお一人ともなっております。

つまり沙悟浄は、モデルとしては、水の神様であったものが、西遊記を書く折、陰陽五行の思想を物語の中に用いるために、わざわざ、火の妖怪に仕立てたふしが見受けられるのです。

これはどういう事か?何故、「水」を「火」にせねばならなかったのか?さらに言うなら、何故、陰陽五行を用いようとしたのか!それはつまり!

ああ、いけない…つい夢中になって、竜胆丸さんが降臨してしまった…

すいません…趣味の話となると、おさえがきかないもんで…

ここからは、話が、あまりに複雑になってくるので止めておきましょう。

ま、つまり、沙悟浄の正体については、諸説異論、様々ある所ではありますが、今回、あまり混乱を与えてはいけないとの配慮から、あえて、水の妖怪と言う事で設定し、登場してもらいました。(おとぎ夜話では、火の妖怪として砂漠に登場してもらったんですが。。。)

しかし、思ったより、えらい長くなったな。

とりあえず、今回はここまでと言う事で…

さて次回は、サラスヴァティと幻の河、さらには斎家との関連性なんぞについて言及いたします(まあ、おそらく、これを楽しみにしているのは、僕の友人だけだろうな…でも書くぞ。ここまで書いたからには、もう引き返せん)

ではでは!またいずれ、次回の講釈でお会いしましょう!

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コメント

なるほどふむふむ…

識るはたのし。
語る浅野さんはさらに盛り上がってらっしゃるようですねw


竜胆丸さんに質問です。

「おとぎ夜話」に解説された、合わせ鏡の100篇の件。
『柳骨夫人』に対する女の妖怪は『水玲仙女』、『金閣・銀閣』に対する兄弟の妖怪が『金鶏・銀鶏』だったりするんですか?

ああ、いえ、決して対応してるわけではありません。最初は、そのつもりもあったのですが、実際見てみると、中々、呼びづらかったり、使いづらい名前もあったものですから…

名前に関しては、オマージュと言う形で、実際に登場する名前を少し変化させて使ったり(例えば、柳骨夫人は、白骨夫人から取りました)

あとは、陰陽五行の木火土金水に関する漢字を、組み合わせて用いました。(例えば金鶏は、金角と言う妖怪の名前と、陰陽五行でいう所の五畜より、金属を現す鶏を合わせました)

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